今週の相場の空気
まずは今週の市場全体を、暗号資産・日米株・為替の数字で見渡します。そのうえで、なぜこうなったのかを読み解いていきます。
マーケット早見表(暗号資産・日米株・為替)
暗号資産だけでなく、日米の株価指数と為替も並べて全体像を見ます。今週はこの表に「株は最高値圏・暗号資産は恐怖」という乖離が、はっきり表れました。
| 指標 | 直近値 | 今週 | 年初来 |
|---|---|---|---|
| ビットコイン(BTC) | $64,064 | ▼12.3% | ▼39.3% |
| イーサリアム(ETH) | $1,796 | ▼9.3% | ▼40.2% |
| 日経225(日本株) | 68,402 | +5.2% | +35.9% |
| S&P500(米国・主要500社) | 7,554 | +0.4% | +10.3% |
| ナスダック(米ハイテク中心) | 26,854 | +0.7% | +15.5% |
| NYダウ(米国・代表30社) | 50,687 | +0.1% | +5.5% |
| ドル円(円相場) | ¥159.9 | +0.3%円安 | +2.0%円安 |
出所:株価指数・為替=FRED(米セントルイス連銀/6/3終値)、暗号資産=本レポート上部(6/4時点)、年初来は昨年末(2025年末)との比較。日経は年初来+35.9%・ナスダック+15.5%なのに対し、暗号資産はBTC▼39.3%・ETH▼40.2%。同じ「リスクを取るお金」が今年は株に集中し、暗号資産から抜けた構図が、数字ではっきり表れています。
株は史上最高値・暗号資産は恐怖 — 完全な乖離の中の選別週
上の早見表が示すとおり、今週は米国株が史上最高値を更新するそのすぐ隣で、暗号資産だけが急落するという、これまでにないほどはっきりした「乖離(デカップリング、本来連動するはずの2つが逆方向に離れていくこと)」の一週間でした。米国株のS&P500は史上初めて7,600を超え、ハイテク株指数ナスダックも最高値を更新する一方、ビットコイン(BTC)は7日間で約-12%下落し、$70Kの心理的な防衛ラインを割り込んで一時$62K台まで沈みました(足元は$64K前後)。市場心理を測るFear & Greed指数(市場心理を0〜100で測る指数)も34 → 21へと後退し、「恐怖」の深いゾーンに入りました。先週号(5/28)から注視してきた「$70K接近」「AI株調整の波及」という論点が、今週はいっそう鮮明になりました。
暴落の主因は金融政策の逆風でした。5月28日に公表された4月のPCE(米連邦準備制度が最も重視するインフレ指標)が市場予想を上回り、コアで3.3%まで上昇したことで、利下げの時期がさらに後ろにずれるとの見方が強まりました。米国のビットコインETF(証券口座から株のように買える器)からは11営業日連続で約34.5億ドルが流出(上場以来で最も長い連続流出記録)し、ビットコインを最も多く保有してきた企業Strategy(旧マイクロストラテジー)が約4年ぶりに売却、中東緊張による原油高も追い打ちをかけました。それでも興味深いのは、この全面安のなかで大手の資金が特定銘柄にだけ流れ続けたことです。「全体が沈むなかで、自前の好材料を持つ銘柄だけが買われた選別」が今週の裏のテーマとなりました。
今週の相場を動かした 8 つの材料
今週、市場に影響を与えた主な出来事を「追い風」「中立」「逆風」の 3 段階に分類しました。追い風 3 対 逆風 4 と、逆風が個別の好材料を数の上でも上回りました。とりわけ逆風 4 つは、いずれも金融政策・金利・ドル・株式相場という市場全体に効くもので、地合いを「恐怖」へと押し下げました。前週(5/28 号)は追い風 4 / 中立 1 / 逆風 3 でしたが、今週は追い風が 1 つ減り逆風が 1 つ増えたぶん、体感の地合いははっきり悪化しています。
※ 色の意味: 赤=相場にとって悪化方向の変化(追い風が減る/逆風が増える)、緑=改善方向の変化。今週は追い風が1つ減り逆風が1つ増え、市場心理も「恐怖(34)」からさらに深い「恐怖(21)」へ後退しました。
- 1.米証券決済の最大手 DTCC が Stellar を採用、保管証券を公開ブロックチェーンに載せるのは史上初
- 2.暴落下でも大手の出資が継続(Coinbase が Ethena に初出資+Grayscale が HYPE 3本目 ETF を上場+Binance.US が INJ ステーキング解禁)
- 3.本人確認(Identity)テーマに今週もっとも資金が集まり、WLD が地合いに逆らって逆行高
- 4.NEAR・ZEC が逆行高となるも、NEAR は基盤刷新が実装待ち、ZEC は守りの材料で力強さを欠く
- 5.4月のインフレ指標 PCE が上振れ(コア 3.3%)し、利下げ期待が後退
- 6.米ビットコイン ETF が 11 営業日連続・約 -34.5 億ドルの記録的流出+Strategy が約4年ぶりに売却
- 7.ドル高(DXY が約2か月ぶり高値)・米10年国債 4.46% で金利が高止まり
- 8.株は史上最高値・暗号資産は急落という乖離(資金が AI 株に集中)+中東緊張で原油 +5%
世界経済と規制の動き
暗号資産の外側で起きた「金融政策と規制の動き」が、今週の相場の地合いをどう左右したのか。次章の個別ニュースを読む前に、大きな空気感をつかむ章です。
株とクリプトの乖離はなぜ起きたか
これまで暗号資産は「ハイテク株が動けば一緒に動く資産」とされてきました。ところが今週はその常識が逆転しました。米国株の不安心理を測る VIX は 15.77 と落ち着き、S&P500 とナスダックは史上最高値を更新しています。つまり株式市場はリスクを取りに行く状態でした。にもかかわらず、暗号資産だけがリスク回避で売り込まれたのです。理由は資金の行き先です。利下げが遠のいたことで、投資家は値動きの読みにくい暗号資産よりも、半導体を中心とする AI(人工知能)関連の米国株に資金を集中させました。同じ「リスク資産」のなかでも、値上がりが続く株に資金が集まり、暗号資産から抜けていったのです。
金融政策の逆風 — PCE 上振れと記録的な ETF 流出、そして Strategy の売却
市場全体を押し下げた最大の要因は、やはり金融政策でした。5 月 28 日に公表された 4 月の PCE(米連邦準備制度が最も重視するインフレの物差し)が、コアで 3.3%(3 月の 3.2% から上昇)と上振れました。インフレが鈍化しないと利下げは遠のき、配当も利息も生まない暗号資産から資金が逃げます。これは数字にもはっきり表れました。米国のビットコイン ETF からは 11 営業日連続で約 34.5 億ドルが流出し、これは上場以来で最も長い連続流出記録です。週次の集計でもビットコイン単体で -14.4 億ドルと、2026 年で最大の週次流出でした。さらに追い打ちをかけたのが、ビットコインを最も多く保有してきた企業 Strategy(旧マイクロストラテジー)が、2022 年以来初めて保有ビットコインを売却したことです。「最も買い続けてきた主体が売りに回った」という象徴的な出来事が、市場心理をいっそう冷やしました。
中東緊張と原油高という追い打ち
金融政策の逆風に加えて、今週は地政学リスクも重なりました。6 月 1 日に米国とイランの相互攻撃が再燃し、停戦が崩れるとの懸念が広がりました。これを受けて原油価格は一週間で +5% 上昇し、2 月の開戦以来では +30% を超えています。原油高はインフレを再燃させかねず、利下げをさらに遠ざける材料です。同時に、不確実性が高まる局面では資金が金などの安全資産へ向かいやすく、これも値動きの荒い暗号資産にとっては逆風となりました。地政学・原油・金融政策という 3 つの逆風が同じ週に重なったことが、今週の暴落を深くしました。
選別 — 逆行して資金が流れ込んだのはどこか
ここまでは逆風の話ですが、今週には明るい「裏のテーマ」もありました。市場全体が 1 割以上下げるなかでも、大手の資金は特定の銘柄にだけ流れ続けたのです。一本の太い糸でつなぐと「暴落の中でも大手の資金は選ばれた銘柄に向かった」となります。具体的には、オンチェーン取引所の HYPE には大手運用会社グレースケールが 3 本目の連動投資商品を上場させ、本人確認をテーマにする WLD はサービス統合で取引量を大きく増やしました。米証券決済の最大手 DTCC がブロックチェーン Stellar の採用を発表したことで XLM が逆行高となり、合成ドルを手がける ENA にはコインベースの投資部門が初めて出資しました。下落相場で「全部売る」のではなく、材料のある銘柄だけが選ばれて買われた——これが今週の選別の正体です。それぞれの中身は次章以降でお伝えします。
今週のニュース
暗号資産業界全体を動かした 3 つの出来事を整理します。
1BTC が $70K を割れ一時 $62K 台へ — ETF 記録的流出と Strategy 約4年ぶり売却、株高との「乖離」が急落を主導
6 月 2 日、ビットコインは 7 日間で約 -12% 下げ、$70K の心理的な防衛ラインを割り込んで一時 $62K 台まで沈みました(足元は $64K 前後)。市場の体温計である恐怖・強欲指数も 34 から 21(恐怖の深いゾーン)へ後退しています。このニュースは本レポートが 2 週続けて主軸としてきた論点の続報です。先週(5/28 号)は「ETF(証券口座から株のように買える上場投資信託)が 3 週連続で資金流出」と報じましたが、今週はそれが 11 営業日連続・約 -34.5 億ドルの上場来最長記録へと加速しました。
市場への影響:暴落の主因は三つです。米国ビットコイン ETF の記録的流出、Strategy(旧マイクロストラテジー)が 2022 年以来初めてビットコインを売却したこと、そして株は史上最高値・暗号資産は恐怖という完全な乖離(本来同じリスク資産なのに真逆に動く現象)です。先週から注視してきた「$70K 接近」「AI 株調整の波及」という論点が、今週いっそう鮮明になりました。
2DTCC(米証券決済の最大手)が Stellar を採用、保管証券をパブリックチェーンに載せるのは史上初
5 月 27 日、米国の証券決済を一手に担う最大手機関 DTCC が、自社が保管する証券をトークン化(ブロックチェーン上で扱える形にすること)する基盤を、公開ブロックチェーンの Stellar(XLM)に接続すると発表しました。米国の主要株 500 銘柄や主要 ETF・米国債を 2027 年前半に Stellar 上でトークン化する計画で、DTC が保管する証券がパブリックチェーンに載るのは史上初です。決め手は、法令順守・処理能力・コスト効率といった機関の要件を満たした点でした。
市場への影響:ビットコインが全面安となるなか、XLM は +18.3% の逆行高を見せました。ただし冷静に押さえるべき点が二つあります。一つは実装が 2027 年前半の「計画発表」段階であること。もう一つは、一部報道が掲げた「$114 兆」という数字は、DTCC の年間決済総額であって Stellar への流入額ではない、という誇張表現だということです。詳しい分析は 6 章で扱います。
3暴落の中でも大手の出資・お墨付きは続いた — コインベースが Ethena に初出資、Grayscale が HYPE 3本目 ETF を上場
市場全体が記録的に逃避するなか、機関や取引所の資金は特定の銘柄に流れ続けました。6 月 2 日、コインベースの投資部門(Coinbase Ventures)が初めて ENA(Ethena)を市場で買い付け、合成ドル USDe(ドルに価格を連動させ、預けると利回りがつく型)を 1 億人を超えるコインベース利用者に提供する提携を発表しました。6 月 3 日には運用大手 Grayscale が HYPE 連動の 3 本目の ETF「HYPG」(手数料 0.29% で 3 本中最低)をナスダックに上場し、HYPE は前日に最高値 $75.51 を更新しました。
市場への影響:さらに 5 月 29 日には、Binance.US が INJ(Injective)のステーキング(預けて報酬を得る仕組み)を米国ユーザー向けに開始しました。下げ相場のなかでも、選ばれた銘柄にだけ大手のお墨付きが集まる「選別」を象徴する動きが相次いだ一週間でした。それぞれの個別分析は 6 章で扱います。
主要指標の動き
ここまでのニュースと世界経済の動きを受けて、暗号資産市場の主な数字がどう反応したかを見ていきます。毎週同じ 6 指標を追跡します(株価指数・為替の早見表は冒頭の「今週の相場の空気」をご参照ください)。
どの分野にお金が向かったか
市場全体は恐怖で全面安となった週でしたが、分野によって濃淡がありました。6 つの分野それぞれで、どの銘柄を見ていてどう動いたかを整理します(↗=大手の資金とお墨付きが選別的に集まった分野、→=テーマはあっても力強さを欠いた分野)。
| 分野 | 注目銘柄 | 今週の動き |
|---|---|---|
| オンチェーン取引所(Perp DEX)↗ | HYPE | グレースケールが 3 本目の連動 ETF を上場。SpaceX 上場の波及が目前。 |
| 本人確認・生体認証(Identity)↗ | WLD(Worldcoin) | 今週の主力テーマ。アプリ統合で取引量 +266%、地合いに逆らって逆行高。 |
| 機関の証券決済・RWA↗ | XLM(Stellar) | 米証券決済の最大手 DTCC が史上初めて公開チェーンに採用。 |
| 合成ドル(デジタルドル)↗ | ENA(Ethena) | コインベース投資部門が初出資、1 億人超に利回り型ドルを提供へ。 |
| 金融特化の基盤チェーン(L1)↗ | INJ(Injective) | Binance.US がステーキング解禁、流通枚数が一気に絞られた。 |
| プライバシー・AI 基盤→ | ZEC・NEAR | 逆行高だが、NEAR は基盤刷新が実装待ち、ZEC は守りの材料で力強さを欠く。 |
先週からの変化 — ナラティブはどう動いたか
先週(5/28号)に資金が向かった中心は「オンチェーン取引所・DeFi の貸し借り・予測市場」でした。今週で最も大きな変化は、お金の中心が"取引所そのものの賑わい"から、大手の金融機関が特定の銘柄を本格採用する流れへ移ったことです。その象徴が XLM でした。ただし Stellar(XLM)はもともと国際送金・ステーブルコインなど"決済"に強い基盤で、RWA(現実資産のトークン化)の代表選手ではありません。今週の新しさは、その決済畑の Stellar が、米証券決済の最大手 DTCC から"保管する証券をブロックチェーン化する実用基盤"として名指しされ、機関による証券トークン化(RWA)の入口に立った点にあります。RWA 自体は 2026 年を通しての大テーマであり続けていますが、その本来の主役は米国債などをトークン化する専門の銘柄群で、今週は別の角度——"決済に強い Stellar が、機関の本格採用で一気に表舞台へ出た"——という出来事でした。オンチェーン取引所(HYPE)は先週に続き 2 週連続で資金を集め(勢いは継続)、先週は脇役だった本人確認(WLD)も主役級に浮上しました。逆に、先週話題だった予測市場や DeFi は、今週は前面から退いています。お金の中心が「取引所そのものの賑わい」から「機関による本格採用」へ一段進んだ、節目の週と読めます。
今週の資金フローの特徴
今週は「全面安」でありながら、同時に「選別相場」でもありました。市場全体からは記録的に資金が抜けたものの、大手の資金とお墨付きは、自前の好材料を持つ銘柄にだけ選別的に流れ込みました。オンチェーン取引所(HYPE)にはグレースケールが、機関の証券決済(XLM)には DTCC が、合成ドル(ENA)にはコインベースが、金融特化チェーン(INJ)には Binance.US が——いずれも暴落の最中に、わざわざ特定の銘柄を選んで資金やお墨付きを置いていきました。逆に、強いテーマを背負った AI 基盤(NEAR)やプライバシー(ZEC)は、逆行高こそ見せたものの、材料が実装待ち・守りの性格で力強さを欠きました。「相場全体の恐怖」と「選ばれた一握りへの資金集中」が同時に進んだ、線引きの濃い一週間でした。
注目銘柄
2 つのテーマに分けて 6 銘柄をご紹介します。今週、確信度の高い「Good」を付けたのは XLM の1銘柄です。市場全体が恐怖に沈み、ビットコインが記録的に売られるなか、米証券決済の最大手 DTCC が史上初めて公開チェーンに Stellar を選んだ材料は、一過性の話題ではなく数年単位で効いてくる構造的なものと判断しました。残る5銘柄は、材料はあるものの今すぐ動くより様子を見たいと考え「注目(観察)」としています。
テーマ①: 大型で逆行高 — 大手の資金が集まった3銘柄(HYPE・WLD・XLM)
時価総額の大きい銘柄でありながら、市場全体の暴落に逆らって上昇した 3 銘柄です。HYPE はウォール街の採用が続くオンチェーン取引所、WLD は今週もっとも資金が集まったテーマ「本人確認」の中心銘柄、XLM は米証券決済の最大手が史上初めて公開チェーンに採用した銘柄です。全面安のなかで「お金が向かった先」を並べて見ていきます。
テーマ②: 取引所・機関のお墨付きが向かった中堅(ENA・INJ・LIT)
テーマ①が大型の逆行高だったのに対し、こちらは時価総額 50 位より下の中堅で、取引所や機関のお墨付きが向かった 3 銘柄です。ENA は合成ドルを手がけるプロトコル、INJ は金融特化の基盤チェーン、LIT は Hyperliquid に続くと目される新興の分散型先物取引所です。いずれも材料は本物ですが、扱いに注意が要る点も並べて見ていきます。
マーケットカレンダー
今後に控える、市場に影響しうる主な予定を時系列でまとめました。価格そのものより「政策と制度の節目」を集めています。
来週から数週間の最大の節目は、6 月 11〜12 日の SpaceX 上場です。Hyperliquid 上では SpaceX がまだ上場していない段階から「将来の株価に連動する商品」が取引されており、6 月 11 日に本物の株価が $135/株で決まり、12 日に上場すると、その価格はそこへ吸い寄せられるように近づいていきます。この節目を目当てに売買が一気に増えるため、Hyperliquid の取引高、ひいては HYPE の動きに波及しやすい局面です。あわせて、6 月 16〜17 日の新議長下で初の FOMC が控えます。直近は 4 月のインフレ指標が上振れし利下げが後ろにずれる見方が広がるなか、会合後の言葉づかいやドットプロットが、利下げ後退とドル高(=暗号資産には逆風)の流れを追認するのか和らげるのかが、来週以降の地合いを左右します。言葉ではなく、数字や事実が確定する節目が続きます。
編集部の視点
今週ほど、相場が二つに割れた週はありませんでした。その読み方を、ひとつの軸——「全体の恐怖」と「選ばれた一握りへの資金集中」を分けて見る——に絞ってお伝えします。
① 株は史上最高値、暗号資産は恐怖 — なぜ割れたのか
米国の株式は史上初めて S&P500 が 7,600 を超え、ナスダックも最高値を更新する一方、暗号資産はビットコインが 1 週間で 約-12% 下げ(一時 $62K 台)、市場心理を測る指数は「恐怖」の深いゾーンに沈みました。同じリスク資産でありながら、まったく逆を向く「乖離(デカップリング)」が今週の景色を決めています。たどると糸は一本につながります。4 月のインフレ指標が上振れし、利下げの期待が後退、ドルと金利が上がりました。その結果、世界のお金は値上がりの続く AI 関連株に集中し、暗号資産からは逃げ出したのです。
② 記録的な ETF 流出と、約4年ぶりの機関売り
資金の流れにも、その重さがはっきり表れました。米国のビットコイン ETF(上場投資信託)は 11 営業日連続で約 34.5 億ドルが流出し、上場来で最長を記録しました。さらに、長く買い続けてきた Strategy 社が約 4 年ぶりに売りに回ったことも、地合いの重さを物語ります。「最も買い続けてきた主体が売りに回った」という象徴的な出来事が、市場の恐怖をいっそう深めました。
③ それでも、お金は無差別に逃げたわけではない — だからグッドは XLM 1 銘柄に絞った
それでも、お金は無差別に逃げたわけではありません。Grayscale は HYPE 連動の 3 本目の ETF を上場させ、米証券決済の最大手 DTCC は Stellar を採用し、コインベースは Ethena へ初めて出資しました。暴落の中でも、大手の資金とお墨付きは「自前の好材料を持つ銘柄」だけに流れ続けたのです。今週のグッドを XLM の 1 銘柄に絞ったのも、この選別の厳しさを映しています。話題の大きい HYPE ではなく、米国の中枢インフラが史上初めて公開チェーンに選んだ XLM の構造的なお墨付きを、最も確信度の高い材料と判断しました。来週は、SpaceX 上場と FOMC を節目に、この乖離が収束へ向かうのか、さらに広がるのかが最大の分かれ道になります。雰囲気に流されず、お金の足あとを一つずつ確かめていきましょう。